{マスタングも欧州で販売するというOne Ford戦略}
1903年ヘンリーフォード1世がアメリカ・ミシガン州で創業。1908年から1927年までに累計1500万台におよぶT型フォードの量産で、自動車の大量生産化に成功し、ベルトコンベアによる流れ作業など、現代の自動車産業の基礎となるものを作った。一方、一台当たりの生産コストを革新的に低減でき、大規模マネージメントでも自動車産業の原点と言われている。
第2次世界大戦後はヘンリーフォード2世が1960年まで社長を務め、1980年まで会長・CEOを務めた。またフォードの歴史上最高の売上高を記録したリー・アイアコッカ氏は1970年にフォードの社長となっている。
1964年にはマスタングが大成功を収めるが、70年代にオイルショックの影響を受け、日本の小型車との競争でシェアを落とした。しかしアイアコッカは1978年に最高売上げ22億ドルを記録する。反面、ヘンリー2世と経営方針で対立し続け、最高売上げを記録した年に解雇されている。アイアコッカはその後クライスラーの社長に就任し、再建することになる。
2000年代になると買収路線の影響や、原油価格高騰などによりフルサイズのSUVやピックアップが敬遠され、GMとともに次第に経営不振に陥いる。
フォードが買収した企業をまとめているPAGグループからは07年にデビット・リチャーズをはじめとする投資家グループにアストンマーティンを売却、ジャガー・ランドローバーはインドのタタ・グループへ。そしてマツダの株式を08年に売却し、さらにボルボを2010年に中国企業へと売却した。
現在は「One Ford戦略」を打ち立て、世界各地で独自に開発生産してきたものを一本化し、世界中で流通可能なグローバルプロダクトの開発・販売を手掛けている。CEOはOne Fordを打ち立てたアラン・ムラリーから2014年に元マツダ社長のマーク・フィールズに代わっている。